「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」が「ひきこもり」と呼ばれています。
「ひきこもり」は、単一の疾患や障害の概念ではなく、様々な要因が背景になって生じています。ひきこもりの状態にある人は、50万人(40歳未満)と言われてきました。しかし、実際は、40歳以上でひきこもりの状態にある方も同数程度いるのではないかと考えるため、全体では、100万人を超えるのではないかとも言われています。
つまり、ひきこもりはそれほど珍しいことではありません。また、ひきこもりから回復して社会で活動している人達もたくさんいるのです。
ひきこもりの状態にある人が回復していくためには、まず家族から支援につながることが大切だと言われています。家族が支援につながることの大切さについて、筑波大学の斎藤環先生が提唱しているひきこもりシステムの考え方つかって解説します。
下の図は、ひきこもりシステムを簡単に表現した図の一つです。ひきこもりの状態の社会と家族と個人の関係を示しています。
外側の青い円が社会システムで、真ん中の赤い円が家族システム、中央の緑の円が個人システムです。3つのシステムには相互の関わり合いがなく、影響しあうことができていません。
家族システム(家族の関係性や交流)と個人システムの相互作用がないため、家族のかかわりがひきこもりの状態にある個人まで届いていない状態です。ご家族は、仕事を通して社会とのつながりが保たれている場合が多いのですが、子どもの「ひきこもり」については、家族の外には秘密にしているなど、「ひきこもり」という点からは社会との接点を失っていることが多いものです。こういった段階では、ご家族の動きは空回りしてしまって、「ひきこもり」の状態にあるご本人にはなかなか良い影響を与えられない場合が多いのです。
ご家族が、ひきこもりの方へのかかわり方などについて、支援を受けるようになった状態です。社会システム(支援体制)を家族システムが活用しながら、ひきこもりの当事者の方への関係性を模索していきます。
ひきこもりの当事者と、ご家族の相互作用が生まれて、ご家族は支援制度との相互作用が保たれている状態です。ひきこもりの当事者は、ご家族を通して社会システム(支援制度)と間接的な相互作用が生まれています。
ひきこもりの当事者が直接的に社会システムとの関わりを持つようになった状態です。ご家族もひきこもりの当事者も社会システムとのかかわりを持ちながら、社会とのかかわりを広げたり深めたりしていくことを模索する段階です。
子育てカウンセリング・リソースポートでは、ひきこもりのお子様へのかかわり方や声のかけ方などについて、ご家族様からのご相談にお応えしております。上にも解説したように、ご家族様が、カウンセリングなどの支援の仕組みとかかわりを持つことが第一歩です。その相談の中で、ご本人の良い変化を引き出し、次の段階へと進んでいけるように、具体的に細かい工夫を一緒に話し合って、アイディアをご提案いたします。